食品衛生責任者ってどんな資格?どんな仕事をするの?
この記事では食品衛生責任者とはどんな資格なのかということから、資格の概要や取り方、そして仕事内容をわかりやすく説明していきます。
こんな人に読んでほしい
・飲食業に関心を持っている人
・食品衛生責任者の資格を取ろうと思っている人
・趣味で資格を集めたい人
☆食品衛生責任者とは?
わかりやすく一言で言うと、食中毒を未然に防ぐ人です。
飲食店に入ると「食品衛生責任者」と表記されたプレートを見たことがある人も多いかと思います。
このプレートは、その飲食店に「食品衛生責任者」が在籍していることを証明するためのもので、飲食店を開業する際に必ず一人は必要となる営業許可証のようなものとなります。
食品衛生責任者が必要とされるのは、食品を取り扱うすべての事業所です。
食品衛生責任者の配置が義務付けられているのは以下のような場所⇩
・飲食店
(レストラン、カフェ、居酒屋、ファーストフード店など)
・食品製造業
(食品工場、パン屋、菓子製造業、惣菜製造業など)
・食品小売業
(スーパー、コンビニ、精肉店、魚屋など)
・宿泊施設やレジャー施設
(ホテル、旅館、テーマパーク、スキーリゾートなど)
・福祉施設や医療施設
(病院、介護施設、保育園、学校など)
・イベントや移動販売
(屋台、フードトラック、マルシェなど)
・食品の輸送や配送業
(冷凍食品や生鮮食品を輸送する業者)
◎食品衛生管理者との違いは?
食品衛生責任者と名前が似ている資格に、食品衛生管理者という資格があります。
どちらも食品衛生に重要な役割を持つ資格です。
この2つの資格の違いについて解説していきます。
◎食品衛生責任者 | ◎食品衛生管理者 | |
・管轄機関 | 各都道府県の保健所が管轄する公的資格 | 厚生労働省が管轄する国家資格 |
・設置場所 | 食品を取り扱う全ての店舗や施設(上記参照) | 衛生上の考慮が特に必要となる食品・添加物を製造・加工する施設や工場 |
・資格の取り方 | 講習会を受講することで取得可能 | 講習会を申し込むのに実務経験が必要。講習会参加や資格取得の条件が厳しい |
食品衛生管理者は国家資格であるため、食品衛生責任者よりも上位の資格になります。
したがって食品衛生管理者は、食品衛生責任者を兼務することができます。
しかし食品衛生責任者は食品衛生管理者を兼務することはできません。
このような違いがあるということだけ覚えておけば大丈夫です。
☆食品衛生責任者の資格取得方法
食品衛生責任者の資格取得の方法は、養成講習会を受講することです。
講習会が免除され、食品衛生協会に申請すれば資格を取れる人たちもいますが、それについても説明していきます。
1,年齢や学歴の制限
原則17歳以上なら受講可能です。
ただし高校生は受講できない場合がありますので、各自治体の保健所、食品衛生協会に確認をしましょう。
外国人の場合でも、永住者証明書を取得していて、日本語を理解できる場合は受講が可能です。
学歴や職歴が問われることもありません。
2,講習会への申し込み
食品衛生協会のホームページから申し込みをします。
このように実施日や実施場所は複数用意されていますので、受講日や受講場所を決めた上で、各協会の申し込み方法に従って郵便で申し込みます。
申し込みをする際には、必要事項を記入した申し込み用紙と返信用封筒1通を封筒に入れて送ってください。(詳しくは各協会のホームページを要チェック)
費用は東京都の場合、受講料10,000円、教材費等2,000円の合計12,000円です。
東京都の場合には、講習受講料は振り込みではなく当日持参になります。
3,講習の受講
一日約6時間の講習を受講することによって資格を取得できます。
講習内容は以下のようなテーマが含まれます。
・食品衛生の基礎知識
・食中毒の防止
・衛生管理の方法
・法令や規制に関する知識
講習の最後に資格取得試験というものがありますが、受講内容を確認するための試験なので難しくはありません。
合格率はほぼ100%です。
試験合格後に、食品衛生責任者の資格証が交付されます。
この資格証があれば、飲食店や食品関連の施設で食品衛生責任者として働くことが可能です。
※講習会場では1,000円で食品衛生責任者のプレートも販売しています。
注意
講習中に居眠りしたり、受講態度が悪かったりすると資格を貰えなくなるので、真面目に講習は受けましょう。
4,資格取得後のフォローアップ
食品衛生責任者の資格には有効期限はありません。
ただし定期的な講習会や研修会への参加を推奨しています。
5,講習を受講しない取得方法
すでに調理師や栄養士、製菓衛生師などの資格を持っている場合は、新たに講習を受けることなく、食品衛生責任者として働くことが認められる場合があります。
免除される資格は以下になります⇩
医師・歯科医師・薬剤師・栄養士・調理師・製菓衛生士・船舶料理士
畜場法で規定する衛生管理責任者または作業衛生責任者
食鳥処理衛生管理者・食品衛生管理者などの資格取得者などの資格取得者
これも各都道府県で異なるため、詳細は保健所で確認が必要です。
☆食品衛生責任者の仕事とは?
食品衛生責任者の仕事は、食品を扱う施設で安全な衛生環境を維持し、消費者に安心して食事を提供できるように管理することです。
この記事では主な仕事内容を8つ紹介します。
1,衛生管理の指導と監督
従業員に対して、正しい手洗いや消毒方法、食品の扱い方など指導します。
衛生的な環境が維持されているかどうかを監督し、問題があれば改善を指示します。
飲食店でアルバイトしたことある人は指導されてるんじゃないかな
2,調理器具や施設の清掃・消毒
調理器具や調理設備の清掃と消毒が適切に行い、ウイルスの繁殖を防ぎます。
特に冷蔵庫や冷凍庫の温度管理、換気設備の点検、ゴミの適切な処理などを徹底します。
食品が不潔な場所にあるなんて嫌だもんね
3,食材の品質管理
食材の仕入れや保管、使用期限の管理を行います。
保存温度や消費期限に注意を払い、劣化した食材が使用されないようにします。
食品アレルゲンが混入しないよう、調理環境や食材の取り扱いにも配慮します。
ポイント
・消費期限:安全に食べられる期限
・賞味期限:おいしさなどの品質が保たれる期限
4,従業員の健康管理
従業員の健康状態を把握し、体調不良や感染症の疑いがある場合は適切に対応します。
定期的に健康チェックや衛生教育を行うことが求められます。
5,法令遵守と報告書の作成
食品衛生法などの法律や規制を遵守し、保健所の指導に基づいて運営を行います。
行政の監査や立ち入り検査に備え、衛生管理に関する記録や報告書の作成・保管も重要な業務です。
6,食中毒予防とリスク管理
食中毒の発生を防ぐために、従業員や調理環境、食材に対する衛生管理を徹底します。
万が一食中毒や衛生上の問題が発生した場合、原因を特定し再発防止策を講じる責任もあります。
ポイント
個人的に、これが一番大事かと思います。
従業員のためにも消費者のためにも、食中毒は絶対に防ぎたいものです。
7,日常的な衛生チェック
毎日、厨房や施設全体の衛生状態を点検します。
これには、冷蔵庫の温度確認、調理台の清掃状態、従業員の服装や手洗いの徹底などが含まれます。
これもアルバイトが最初に教わることだね
8,新型コロナウイルスなどの感染症対策
パンデミックや感染症の流行時には、手洗いや消毒、マスクの着用などの追加の感染防止対策が求められます。
これらの対策を従業員や施設内に徹底することも重要な業務です。
食品衛生責任者の役割は、施設内での衛生管理を通じて、消費者の健康と安全を守ることです。この役割をしっかり果たすことで、食中毒や衛生事故の発生を防ぎ、事業の信頼性と顧客満足度を高めることができます。
☆食品衛生の重要性
実際に発生した、代表的な食品事故を紹介します。
以下の例は2003年5月の食品衛生法の大幅な改正の契機となった食品関連事故です。
食品事故が発生すると、消費者は食中毒などの被害を受けます。
食中毒など安全性にかかわる事件であれば、死者が発生するなど、重大かつ深刻な事態になります。
そして食品を提供した企業は、企業倫理、社会的責任を問われ、社会的信用は地に落ちます。
一度落ちた信用を取り返すのは極めて困難で、食中毒等の事件、事故は組織の存亡にかかわる問題となってきます。
食品衛生責任者は、そのことを肝に銘じて、日々の仕事に取り組むことが求められます。
☆さいごに
ここまで読んでいただきありがとうございます。
食品衛生責任者の資格取得方法や仕事について紹介させていただきました。
食品衛生責任者の資格は、取るのは講義を受けるだけなので非常に簡単です。
しかし背負う責任は大きく、飲食店や食品の販売店など、食品の調理や製造、販売を営む全ての店舗や施設に設置が義務付けられている重要な資格です。
それだけやりがいのある仕事とも言えます。
この記事を参考にして、みなさんも食品衛生のスペシャリストを目指してください。